毎年5・6月に協会にて特別ゲストをお迎えし、講話や音楽等の特別プログラムを開催いたします。

■2010年5月のブッダの生誕祝賀会

 2010年5月16日、逗子例会でゴータマ・ブッダの生誕祝賀会を行いました。11時にスワーミー・メダサーナンダの誘導で、ヴェーダの平和の祈りと仏教の聖句を朗唱しました。続いて仏教の聖典を英語と日本語で輪読しました。当日のゲストスピーカーは、日蓮宗釈迦寺住職 日蓮宗現代宗教研究所顧問 影山 教俊先生でした。影山先生は南カリフォルニア大学で人間行動学の博士号を取得されています。マハラジは影山先生を皆に紹介し、先生にお願いして先生に主導していただき皆で読経しました。影山先生は、これまでに四冊の著書『日蓮宗とは何か-加行所をめぐる戦後60年の光と影』、『仏教の身体技法-止観と心理療法・仏教医学』、『寺と仏教の大改革』、『祈りで病気が治る』を執筆されています。 先生はスライドを使ってお話をされました。

「主ブッダの教えの実践」

 影山先生は、「そのブッダの教えを実践することで、現代社会で最も問題となっている「環境・平和・健康」を実現するために、はどうしたらよいのだろうか、その具体的な方策について、考えて行きたいと思います」と言われました。

 自己紹介の中で先生は、「人は生き方で考え方が決まる」とおっしゃり、実家がお寺でないのに仏教に興味を持ったこと、海外で人間行動科学を学ばれたこと、仏僧としての修行、三十年前に渡印してヨーガを学んだこと等を話されました。

 先生は、「世界平和でみなの幸せな暮らし」が実現すること、それには「何よりも私たちが自分自身の信仰心を養い、『こころ』の平和を実現することが急務です」と言われました。そして、現代仏教の問題点は、「「仏教とはいったいどんな宗教なのか?」と疑問が生じることであるとおっしゃいました。日本仏教は祖師信仰が中心となっていてさまざまな宗派と教えがあり、インド仏教の開祖、ブッダに学ぼうという姿勢があまりに見られないことを指摘され、また、修行僧や尼僧が住んでいた僧院が明治時代に廃止されたことにより学問仏教となり、修行が重んじられなくなったと述べられました。

 現代仏教は、思想信条として学問的に探求する方法が主流となり、修行法による体験的な探求法は殆ど顧みられておらず、一方、インド仏教の開祖であるお釈迦さまは、五千年もの歴史を持つヨーガの修行者(ヨーギ)だったのだから、修行を実践することでブッダの教えに近づくことができると言われました。
「ヨーギとは、心に生じる誤った欲望を心の統制と呼吸法(プラーナーヤマ)によりコントロールする隠者」だと影山先生は言われ、学問的な探究だけでは悟りを得ることはできないと述べられました。ブッダのヨーガ修行は呼吸法をひたすら実践する易行で中道と呼ばれたが、この教えは理解するものではなく体験するものであると言われました。

 「私たちの日常は、五欲の煩悩との戦いです。仏教は哲学ではなく、心をコントロールするテクニックそのものなのです。平和は信仰心を養うことから始まるのです」と影山先生はおっしゃいました。
影山先生は、原子力の平和利用の弊害や核兵器等の問題は、私たちの「こころ」の問題、欲望の問題そのものであり、ただ原子力利用に反対しても解決できないと言われました。また、地球温暖化の問題も私たちの欲望が肥大した結果だから、信仰心を養い少欲知足に「こころ」をコントロールすること以外に、温暖化を防ぐ手立てはないとおっしゃいました。

 「信仰、修行、実践を通して、欲望や本能をコントロールし、文化を正しく導くことができる」と言われました。

                                           -以上ニュースレターより